2018年1月9日火曜日

家庭用エネルギー完全自由化時代の競合の様相

皆様、新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

平成31年4月30日の天皇陛下の譲位が閣議決定され、今年の秋ごろには新しい元号が発表される運びで、まさに新しい時代の幕開けといった感があります。
一方で家庭用のエネルギーリテール業界も一昨年には電気の小売が、昨年は都市ガスの小売が全面自由化され、新しい時代に入りました。
昨年末の本稿では国産灯油の減産分を輸入灯油、電気、都市ガス、そしてLPガスが取り合うという家庭用エネルギー間競争の可能性について述べましたが、そもそも完全自由化時代の競合の有様はどのように変わっていくのかについて鳥瞰してみたいと思います。


文化人類学領域で有名な「ぼやけたジャンル(Blurred Genres)」という、古典的学問領域を超えた学際的視点を重視する手法は高く評価され、20世紀後半以降の新しい科学様式となりました。
これを家庭用エネルギー業界になぞらえてみると、これまでは石油業界、電力業界、都市ガス業界、LPガス業界等、ある事業者が所属する業界とそれ以外の業界、乃至、自らが扱うエネルギーとそれ以外という視点で競合を捉え、対抗策を講じるという様式でした。

しかし自由化政策の目論見は既存のエネルギー業界・種区分をBlurred Genresさせ、同時に異業種からの参入も促し、業界領域を超えた視点による分析力と新たな経営様式の確立によって低廉で安定的なエネルギー供給を可能ならしめるところにあります。

企業文化を異にして互いに競合する家庭用エネルギーの事業主体は次のとおりです。
① 一般電気
② 新電力
③ 都市ガス
④ 石油
⑤ LPガス
⑥ 異業種
⑦ 一般電気+一般電気連合
⑧ 一般電気+新電力連合
⑨ 一般電気+都市ガス連合
⑩ 一般電気+石油連合
⑪ 一般電気+LPガス連合
⑫ 一般電気+異業種連合
⑬ 新電力+新電力連合
⑭ 新電力+都市ガス連合
⑮ 新電力+石油連合
⑯ 新電力+LPガス連合
⑰ 新電力+異業種連合
⑱ 都市ガス+都市ガス連合
⑲ 都市ガス+石油連合
⑳ 都市ガス+LPガス連合
㉑ 都市ガス+異業種連合
㉒ 石油+石油連合
㉓ 石油+LPガス連合
㉔ 石油+異業種連合
㉕ LPガス+LPガス連合
㉖ LPガス+異業種連合
㉗ 異業種+異業種連合
プラスα

二者タイアップだけでも27種類の事業主体がこれまでのバックグラウンドに拘わらず、電気、都市ガス、石油、LPガスの全てに加え、エネルギー以外の家庭用商材、駆付や見守等の安心・安全サービス、さらには保証、保険、医療分野まで広がりのあるラインアップとパッケージディールを用意し、2事業主体間だけでも27C2=351通りの様相で、第四次産業革命時代に備える投資も視野に入れたジャンルなき競合を繰り広げることになるわけです。