2018年2月5日月曜日

運び手不足

博多に、税込1,500円で新鮮なお刺身、てんぷら、茶わん蒸し、煮物、お椀、辛子明太子が楽しめるサービスランチが名物の老舗生簀料理屋さんがあります。
このお店の40年以上続いたランチが2月25日をもって営業終了となるそうです。
入口で『人材確保が難しくなり昼食を作り続けることができなくなりました』という立て看板を見つけて大変驚きました。
九州最大級の生簀を囲む二百の客席は活気に満たされ昼時は連日何回転もしています。
客数は中国、韓国などの外国人旅行者も多く長蛇の列をなすほど増えているのに対し、従業員の高齢化、後継若手従業員不足で切り盛りする人手が確保できないための営業終了ということです。

同様な話としてトラックドライバー2020年問題というのがあります。
東京オリンピック・パラリンピックに向けて建設関連物資輸送ニーズが急増、ドライバー需要総数が90万人を上回るのに対し10万人以上不足するという見通しがあるとのこと。
ここでも需要の増加、既存ドライバーの高齢化、後継若手ドライバー不足という構図があります。
若手が集まらない理由は過酷な労働環境、長時間労働、低賃金。
宅配事業者に見られるように運賃の値上げ・サービス残業の解消、ベースアップで賃金は改善のしようがありますが、働き方改革とほど遠い印象を払拭することは容易ではないと思われます。


さて、家庭用エネルギーリテール業界では電気、都市ガスは運び手を必要としません。
しかし、灯油は北海道などではバルク供給、LPガスはシリンダー供給と運び手が必要な業態で、需要規模は縮小傾向にあるものの運び手の高齢化と若手配送員の確保難は深刻な経営問題です。
灯油やLPガスのルート配送の場合、ひと月の内の配送タイミングと配送エリアに継続反復性があることから、ベテラン配送員は季節、月日、曜日、時刻、天候等に応じて最適配送ルートを自らの経験則に照らして選ぶノウハウを持っています。
このノウハウを継承すべき若手配送員不足は配送効率を悪化させ、業績の悪化に繋がると懸念される事業者の方は少なくないようです。

電気に続いてガスのスマートメーターも世に出つつあります。
リアルタイムの使用量をもとにIoT、AIを活用してベテラン配送員並みの効率配送ルートを割り出すシステムを開発、研修を用意して保安業務員資格取得をサポートし、委託契約で配送・点検業務スタッフを確保するという動きが出てきています。
さらには検針員の他事業領域での活用、保安を担う社員不足対応やFintech時代の新たな決済も視野に入れた総合的な業務プロセスの再構築をきっかけに、機能単位の横断型の業界再編が異業種も巻き込んで進むとすれば、第四次産業革命時代に相応しい潮流となると思いますが、いかがでしょうか?