2018年7月10日火曜日

気になる中東情勢

いよいよ米中の貿易戦争の火蓋が切って落とされました。

トランプ政権の自国第一主義が中国のみならず、ヨーロッパ諸国も巻き込んだ報復関税と対抗措置の連鎖に繋がり、世界の貿易が縮小し、世界規模での景気の後退が懸念されます。

さらには、かつて大恐慌が発端となって世界大戦に突入した暗い歴史の再現に警鐘を鳴らす向きも増えています。

また、トランプ政権は5月8日に米・英・仏・独・ロ・中とイランの核合意からの離脱を公約通り宣言、国際協調に背を向けイラン敵視政策を開始しました。

最高レベルの制裁措置を取るとしており、また、アラブ・イスラーム諸国にとっては屈辱の日であるイスラエル建国記念日の5月14日、建国70周年を祝う形でエルサレムに米国大使館を移しました。

イラク復興の道半ば、シリア内戦と大量の難民問題、イスラーム国掃討戦の継続、イエメンでのサウジ・イラン代理戦争の深刻化、サウジや湾岸諸国等とカタールの断交といった混迷する中東情勢に、イスラエル寄りの全米最大の宗教団体キリスト教福音派のトランプ大統領によりイラン核問題が復活、同時にパレスチナ問題が一触即発の新しい局面へと移されたわけです。 


資本主義が生み出した資本と階級社会からの脱落者がアジア、アフリカ地域に輸出されることにより植民地主義が生み出され、英・仏による第一次世界大戦によるオスマントルコの植民地化に向けた対アラブ、対ユダヤ二枚舌外交の結果パレスチナ問題が歴史上に生起されました。

1948年に米国の後押しによりユダヤ人国家イスラエルが強引に建国され、第四次に亘る中東戦争の挙句、1977年にアラブ諸国の中心であったエジプトが経済的疲弊からイスラエルと和平交渉を開始、1979年に平和条約締結、サウジともども米国との同盟関係を確立しました。

すると同年イランにおいてイスラーム革命が起き反米・反イスラエル政権が樹立されましたが、この年にサッダーム・フセインがイラク大統領に就任、翌年イラン・イラク戦争開戦、米国はイラクを支援します。

この戦争終結からわずか2年後の1990年に湾岸戦争、2001年9月11日の世界同時多発テロを経て2003年のイラク戦争で米国中心の多国籍軍がフセイン大統領を排除したのでした。結果イラクの西、シリアの東、トルコの南の空白地帯にイスラーム国勢力が展開、今日の大混乱へと続いています。


米国による世界的規模の貿易戦争の開戦によって国際協調がますます分断され、世界の景気が大きく後退していく中、石油、ガスという重要なエネルギーの供給元で異様なまでに高まったこの地政学的リスクに誰がどのように対処する(できる)のでしょうか? 

中東情勢がとても心配です。